バイデン氏、ハマスの「残虐行為」を非難 米市民の人質認める
ワシントン(CNN) バイデン米大統領は10日、ホワイトハウスで約10分間演説し、イスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃を市民への残虐行為として強く非難した。また、ハマスが拘束している人質の中に米国人も含まれていることを確認した。
バイデン氏は演説の中で、ハマスが罪のない人々を虐殺したと非難し、死者の中に米国人14人が含まれることが分かっていると述べた。ハマスの「忌まわしい」残虐行為は、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」による最悪の凶暴行為を想起させるとも語り、イスラエルを支持する立場を改めて表明した。
深刻な危機に際して米国とイスラエルの緊密な関係を強調するのが狙いとみられる。あいまいな表現は使わず、イスラエルの対抗措置に自制を求める言葉もなかった。ただし、いかなる対抗措置も法を順守しなければならないと述べ、それが両国とテロリストの違いだと主張した。
ハマスの攻撃を「悪行そのもの」と呼んで、周辺諸国にこの事態につけこんだ介入を避けるよう呼び掛けた。
演説に先立つネタニヤフ・イスラエル首相との会談で、米国がイスラエルと同じ目に遭った場合、素早く断固とした圧倒的な対応を取るだろうと伝えたことも明らかにした。
バイデン氏はハマスの攻撃が始まった数時間後から3回にわたり、ネタニヤフ氏と電話で会談している。攻撃の直後にネタニヤフ氏がガザへの地上侵攻の可能性に言及した際も、バイデン氏は自制を求めなかった。
米国人の人質については「大統領として安全確保を最優先する」と強調し、イスラエルと協力して解放に努めるよう指示したことを明らかにした。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)はその後、イスラエルでは10日の時点で「20人かそれ以上の米国人」が行方不明になっているとの認識を示す一方、必ずしも全員がハマスに拘束されているわけではないと指摘した。
バイデン氏はまた、イスラエルの自衛に必要な資金援助の承認を議会に求めると改めて表明。「これは党派や政治の問題ではなく、世界の安全保障の問題だ」と強調した。
さらに、米国内ではユダヤ人関連施設の警備を強化し、各地の捜査当局やユダヤ人団体と協力して脅威の発見と防止に努めていると説明した。