バイデン氏、ガザ死者数の正確さを「疑問視」 パレスチナ反発
(CNN) 米国のバイデン大統領は29日までに、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」とイスラエル軍との軍事衝突に関連し、ガザの保健省が報告する住民の死者数の信憑性(しんぴょうせい)に「確信は持てない」との考えを示した。
「パレスチナ側が示す犠牲者数が真実なのかわからない」と記者団に表明。「罪のない人々が殺されているのは確かだが、戦争の代償である」とも述べた。
その上で、イスラエルは、民間人ではなく、戦争を広めた当事者を追い詰めるのが狙いであることに十分注意しなければならないとも続けた。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官も大統領のこの発言に同調。「ガザの保健省はハマスの隠れみの」とも評したが、数千人のパレスチナ人や多くの罪のない民間人が殺害された事実は争わないともした。
一方、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸を拠点にするパレスチナ自治政府のシュタイエ首相はバイデン氏らの言動を批判し、自治政府の保健当局はガザ保健省がまとめる死者数は正確なものと受け止めているとした。
同首相は「現実を見たくない指導者が一部いる。事態の進展をイスラエル側から判断したがっている」とも述べた。パレスチナ自治政府は米国の支持も得ている。
この中でガザの保健省はバイデン氏らの発言を受け、イスラエルの「軍事侵略」でもたらされたとする犠牲者の名前を記した212ページの報告書を公表。ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃が起きた今月7日以降の記録とした。
人数の集計に当たっては、正確さと説明責任を重んじていると主張。犠牲となったパレスチナ人の人間性を消し去ることはできないと述べた。
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府はハマスと競り合うパレスチナ解放機構(PLO)などの勢力が主体となっている。ガザでの死者数についてはヨルダン川西岸とガザ地区の保健省が連日公表している。
イスラエル軍はガザで発表される死者数を疑問視し、誇張があると主張しているが、その根拠は示していない。イスラエル軍幹部はCNNの取材に「ガザで死亡する住民らの人数は把握していない」とも明かしていた。