米、カタール空軍基地での駐留延長で内密の合意 中東で最大規模
(CNN) 米国が中東カタールの首都ドーハ近郊にある広大なアルウデイド空軍基地での米軍駐留をさらに10年間延長するなどの合意を内密に取り付けていたことが7日までにわかった。
この合意事項に通じる米国防総省当局者の3人と米政府当局者の1人がCNNに明らかにした。合意の延長はこれまで公式には発表されていない。カタールは中東では小国だが、最近はパレスチナ自治区ガザ自治区や南米ベネズエラで拘束されている米国人人質の解放で主要な仲介役としての存在感を発揮していた。
同空軍基地はドーハから南西へ離れた砂漠地帯に位置。中東における米軍拠点として最大規模となっており、兵士ら1万人以上が駐留している。
オースティン米国防長官も先月、基地を訪れ、施設整備などに対するカタール政府の支出増大への謝意を表明していた。ただ、長官は米国との今回の合意更新には触れず、バイデン政権もその事実を公にはしていなかった。
軍事衝突が今なお続くパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織「ハマス」の幹部の滞在などをカタール政府が容認している事情を配慮した措置とみられている。カタール政府当局者は、同国内に政治交渉などを進める事務所設置をハマスに認めたのはオバマ元政権時代の米国の要請を受けた結果とも説明している。
アルウデイド空軍基地は、中東地域などを管轄する米中央軍の航空面での任務遂行で必要不可欠な拠点と化している。アフガニスタン周辺、イランや中東全域での作戦が絡むもので、カタールや英空軍もこの基地を利用している。
今回の米軍駐留の合意延長は、イラクやシリア、イエメンでイランが後ろ盾となっている武装組織への対処が迫られる時期とも重なっている。
ハマスは昨年10月7日のイスラエルへの大規模奇襲で約240人の人質を連れ去ったが、カタールはイスラエルや外国人の人質を解放させる初期の説得交渉で中心的な役割も演じた。この交渉は現在、停滞しているものの、カタールは米中央情報局(CIA)、イスラエルの情報機関やエジプトと連携しながら、再開の道筋を主導的に探っているともされる。
カタール政府は駐留米軍には恩恵となるアルウデイド空軍基地の設備改善などに数十億ドルの自前の資金を投入したともいわれる。2003年には米中央軍の主要な航空基地に格上げされてもおり、米軍はそれまで依存してきたサウジアラビアの空軍基地から人員や装備品を移してもいた。