インフルB型「山形系統」コロナ禍で消滅か、米で3価ワクチンに切り替え
(CNN) 米国でインフルエンザの予防接種に使われるワクチンが、過去10年間使われてきた4価ワクチンに代わり、この秋から3価ワクチンに変更される。
今年秋から米国内で流通するのは全て3価ワクチンになる予定。この変更の一因は新型コロナウイルスだった。
これまでの10年間は、インフルエンザA型2種とB型2種に対して効果のある4価ワクチンが使われていた。しかし米食品医薬品局(FDA)の諮問員会は5日に行った投票で、B型の「山形系統」を除いた3価ワクチンを全会一致で推奨した。
山形系統は新型コロナが流行する以前から減少していたが、コロナ禍のマスク着用や外出自粛、換気の徹底といった対策によって消滅した様子で、2020年3月以降の検査では検出されていない。
ただ、インフルエンザのB型は予想しにくい傾向がある。山形系統が猛威を振るった1990年代、もう一方のB型株の「ビクトリア系統」は散発的にしか検出されていなかったが、2000年代になって再び増加した。
このため、しばらく姿を消していた山形系統がもしも再燃した場合、ワクチンの製造方法は簡単には変更できないという懸念がある。変更するためには規制当局による検証と承認も必要とする。
世界保健機関(WHO)は昨年9月、インフルエンザのワクチンに山形系統を含める根拠はなくなったとの見解を示した。10月にはFDAの諮問委員会も、山形系統をできるだけ早期にワクチンから除外するよう勧告していた。
FDAのジェリー・ウェア氏は5日、24~25年のインフルエンザ流行シーズンに間に合うよう、メーカー各社と協力して山形系統をワクチンから除外すると表明。米国ではワクチンのメーカー各社が既に3価ワクチンの承認を受けていたことから、他国よりも早く対応できたと説明した。
一方、米国以外の国では切り替えに時間がかかっており、そうした理由から諮問委員会は、他国への輸出用に米国内で製造する4価ワクチン(山形系統を含む)の推奨も決議した。
諮問委員会の委員を務めるポール・オフィット氏は山形系統の廃止について、「人々に必要のないものを接種させたくない」と話している。