交通取り締まりの警官が96発発砲、ドライバーの男性死亡 米シカゴ
米シカゴ(CNN) 米イリノイ州シカゴの住宅街で、シカゴ警察の警官が交通取り締まりで車を止め、運転していた男性に向かって96発もの銃弾を発砲していたことが、9日に公開されたボディーカメラの映像で明らかになった。銃弾を浴びた男性は死亡し、警官による過剰な武力行使だった疑いが浮上している。
死亡したのは車を運転していたデクスター・リードさん(26)。これまでの捜査によると、警官に対して最初に発砲したのはリードさんだったと思われる。しかし男性の家族や弁護士は、複数の私服警官が銃を抜いてリードさんの車を取り囲んだ経緯や、何十発も発砲した理由に疑問を投げかけている。
事件は3月21日、シカゴ市内の住宅街ガーフィールドパークで発生。ボディーカメラの映像は、シカゴの警察説明責任市民事務所(COPA)が9日に公開した。COPAは警官の不正行為や発砲について調査する市の機関。
この映像によって事件の経緯が明らかになる一方で、新たな疑問も次々に浮上している。
映像に映った事件の経緯
映像のうち1本には、フード付きジャケットとベースボールキャップ、バッジの付いたタクティカルベスト姿の警官1人が、白い車に近付く姿が映っている。車の窓はスモークガラスで中はよく見えない。
「窓を下ろせ。窓を下ろせ」という警官の指示に従い、ドライバーは窓を開けたが、すぐにまた閉め始めた。
警官は「何やってるんだ」「ドアを閉めるな」と叫んでドアハンドルに手をかけたが、ドアはロックされている様子だった。そこで警官は銃を抜く。「今すぐロックを開けろ」と怒鳴る声が、別の警官からも聞こえた。
ドライバーは「OK、やろうとしてるんだ」と応じた様子だった。
数秒後、警官が車から身を引いたところで、銃声が響いた。
続いて何十発もの銃声が連続する。
別のボディーカメラ映像は、少なくとも2人の警官が、住宅街の通りをはさんでリードさんに向け発砲する姿をとらえている。警官は2人とも、途中で銃撃を止めて弾丸を再装填していた。
銃撃がやむと、リードさんは車の後ろにうつ伏せに倒れていた。
「彼が最初に我々を銃撃した」と1人の警官が言った。
およそ1分後、無数の銃弾を浴びたリードさんの車を警官が調べて「銃がここにある」と告げ、懐中電灯で車内を照らした。
この銃撃で警官1人が手首を撃たれ、病院に運ばれた。シカゴ警察によると、経過は良好だという。
警官の行為が正当だったかどうかについては、現在、複数の機関が調査している。