バイデン氏、撤退決断後初の演説 民主主義を守るためと説明
ワシントン(CNN) バイデン米大統領は24日夜、ホワイトハウス執務室から国民向けに演説し、今年の大統領選から撤退する決断について民主主義を守るためと位置付けた。
バイデン氏は演説で「この職務に敬意を抱いているが、国を愛する気持ちの方が強い」と説明した。自身の大統領の任期、そして半世紀に及ぶ公共の奉仕の終わりの始まりを告げる異例の演説となった。
さらに「皆さんの大統領を務められたのは一生の名誉。しかし、どんな肩書よりも重要な民主主義を守るためだ。私は米国民のために働くことから力を得て、そこに喜びを見いだしている」と語った。
バイデン氏はトランプ前大統領を名指しこそしなかったものの、敗れた4年前の選挙で勝利を主張したトランプ氏との明確なコントラストを打ち出した。
「米国が偉大なのは、王や独裁者が統治しない点だ」とし、「国民が統治する。歴史や米国の理念はあなた方の手中にある」と訴えた。
バイデン氏はもう民主党の候補指名予定者ではなく、民主主義を懸けた選挙でトランプ氏に立ち向かうスタミナと能力が健在だと国民を納得させようとする場面はなかった。バイデン氏は再選出馬は政治的に不可能との民主党内の声に押し切られて今やレームダック(死に体)と化し、自身の政治的影響力を行使してハリス副大統領を支援する立場にある。
21日に大統領選不出馬を表明して以降、バイデン氏が長時間発言するのは初めて。多くの米国民にとって、先週新型コロナウイルスに感染してから初めてバイデン氏の姿を目にする機会となった。
約11分間の演説では、指名候補の座を引き継ぐハリス氏を擁護する場面もあった。
ハリス氏を「経験豊富でタフ、有能だ。私にとって素晴らしいパートナーであり、この国のリーダーになる」と評し、「あとは米国民の皆さんの選択だ」と言い添えた。