中国の反汚職キャンペーン、軍の増強計画の障害に 米国防総省報告書

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2017年、習氏が視察に訪れた香港の軍施設で行進する人民解放軍の兵士ら/Anthony Kwan/Bloomberg/Getty Images

2017年、習氏が視察に訪れた香港の軍施設で行進する人民解放軍の兵士ら/Anthony Kwan/Bloomberg/Getty Images

(CNN) 軍や政府の高官レベルを標的とした中国の広範な反汚職キャンペーンは、2027年までに同国の軍隊を増強するとした計画を進める上での障害となる。米国防総省が18日に公開した新たな報告書で、そのような見解を明らかにした。

「23年下期だけで、少なくとも15人の軍高官並びに国防部幹部が汚職を理由に更迭された。(中略)汚職に絡んだこれだけの捜査が行われ、指導部の更迭が続けば、(中国人民解放軍が)27年に設定した目標への進捗(しんちょく)にとって阻害要因となった可能性がある」。ある国防担当の当局者は、中国の軍事力を分析した報告書について今週説明した際、記者団にそう述べた。この報告書は毎年議会に届けられ、中国の軍事並びに安全保障の概要を明らかにする。

同当局者によると影響は既に一定程度表れており、今後も表面化は「避けられない」という。米国防総省は引き続き、軍備の開発と獲得、主要な建設計画や人員といった面で、中国の汚職キャンペーンが及ぼす影響を追跡する。

また報告書によれば、中国がロシアによるウクライナでの戦争から学んだ教訓を自国の対台湾政策に適用するのは「ほぼ確実」だ。具体的には情報空間での「目標推進」を模索していると、前出の当局者は説明。ロシアに対する経済制裁を目の当たりにし、国として自立する必要性も認識しているとみられる。

報告書では中国が現在運用可能な核弾頭を600発と推計。昨年の報告書からざっと100発増えた計算だ。30年までには1000発を超える核弾頭が運用可能になる見通しだとしている。取材に答えた当局者は、従来の評価に沿う内容だとしつつ、中国が30年以降も「自軍の拡張並びに最新化を継続する」のは間違いないとの見方を示唆した。

国防総省の報告書は、中国の高官に絡んで最近起きた数多くの事案に言及する。軍や政府、防衛産業に所属するこれらの人物は、解任や捜査の対象となっている。

たとえば11月には、習近平(シーチンピン) 国家主席に相当気に入られていると思われた軍高官トップが職務を停止され、汚職絡みの捜査を受けた。

18日の報告書は中国の政治指導部について、反汚職キャンペーンを「恐らくはプロフェッショナルな戦力を築き上げるために必要なツールと見なしている」と分析。それは人民解放軍が掲げる27年までの最新化目標の一環だという。

しかし「頻繁に人材が入れ替わる事態」はその目標達成に影響を及ぼすと、取材を受けた国防担当当局者は指摘する。たとえば大掛かりな建設計画や防衛産業内でこの規模の交代が起きれば、プロジェクトに遅れが生じる可能性がある。

専門家によると、兵器システムや軍艦の調達が急増する中にあって、とりわけ防衛産業内で汚職が発生するのはほとんど驚くに値しないという。米サンディエゴ大学のビクター・シー政治学教授は以前CNNの取材に答え、最新化に注力する中国軍では、海軍だけでも汚職の機会が大量にあると説明していた。

今回取材に答えた当局者も、ある高官の汚職が発覚すれば芋づる式に別の当局者の汚職も明るみに出るのは避けられないとの見解を示した。

それでも汚職の引き締めを自身の政策の目玉と位置づける習氏が現行のキャンペーンを打ち切ることは考えにくいと、同当局者は付け加えた。

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