米首都近郊で軍用ヘリと旅客機が空中衝突、分かっていること
(CNN) 米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港付近で29日夜、旅客機と米陸軍のヘリコプターが空中衝突し、生存者を探す懸命の捜索が続いている。
旅客機が墜落したポトマック川では、凍てつく水の中で緊急対応要員が捜索救助活動を行っている。法執行当局の情報筋は死者が確認されたことを明らかにしたものの、具体的な人数は明かさなかった。これまでのところ救出された生存者はいない。
アメリカン航空と米国防当局者によると、旅客機には64人、陸軍のヘリには兵士3人が搭乗していた。
以下に今回の墜落について分かっていることを挙げる。専門家からは、米国の旅客機が絡む航空事故としてはここ数十年で最悪の規模になると警告する声が出ている。
何が起きたのか?
米連邦航空局(FAA)は声明で、墜落した旅客機はアメリカン航空5342便であり、カンザス州ウィチタからレーガン・ナショナル空港に向かっていたと明らかにした。
機材はボンバルディアのリージョナルジェット「CRJ700」。FAAや複数の国防当局者によると、29日夜に首都ワシントン郊外の同空港に着陸する予定だったが、滑走路への着陸態勢に入ったところで陸軍のヘリと空中衝突した。
飛行記録には、現地時間の午後9時ごろ着陸する予定だったことが示されている。首都ワシントンの警察は午後8時53分、「ポトマック川上で起きた航空機の墜落」に関する通報を受けた。
米軍のメディア責任者はCNNの取材に、衝突時のヘリは訓練飛行中だったと説明した。
第12航空大隊はバージニア州フォートベルボアを拠点とする部隊で、首都一帯でヘリコプターによる輸送や「専門的な救助支援」を提供している。ブラックホークヘリが衝突前に離陸した地点は依然不明。
レーガン・ナショナル空港では、すべての離着陸が停止されている。
何人が搭乗していたのか?
アメリカン航空はCNNに対し、乗客60人、乗員4人が搭乗していたことを明らかにした。
米国防当局者によると、陸軍ヘリの搭乗員は3人で、要人は乗せていなかった。陸軍の幹部は首都ワシントン一帯での移動にブラックホークヘリを使用する場合が多い。
首都ワシントンの警察と消防、コロンビア特別区首都警察は共同声明で、「現時点で犠牲者に関して確認された情報」はないとしている。
アメリカン航空は5342便の搭乗者の家族や肉親に向け、ホットラインを開設した。
捜索救助活動を支援するヘリコプター/Chip Somodevilla/Getty Images
救助活動について分かっていることは?
この地域を拠点とする地元や連邦の法執行当局はほぼ全て、ポトマック川で捜索救助活動に当たっている。要員らは氷点下に近い気温の中で懸命の捜索活動を行っている状態だ。
労組関係者によると、数十人の消防士が潜水作業に当たっているという。
米国立気象局によると、ポトマック川の水温は現在1.6度前後。低体温症などを懸念する声も上がっている。
米国立気象局によると、冷たい水に突然浸かると「コールドショック」と呼ばれる状態になり、制御不能なあえぎや荒い呼吸、過呼吸などの生理学的な反応を直ちに引き起こす場合がある。
トランプ政権の発言は?
ホワイトハウスのレビット報道官は29日夜、FOXニュースのショーン・ハニティー氏との短時間のインタビューで、今回の件についてトランプ大統領が報告を受けたことを明らかにした。
レビット氏は「トランプ政権は全員、事故に巻き込まれたあらゆる人に思いと祈りを寄せている」と述べ、国民に平静を保ち、法執行当局の指示に従うよう呼び掛けた。
バンス副大統領はSNSで「レーガン空港付近での空中衝突に巻き込まれた全ての人」のために祈りを呼び掛け、「状況を注視しているが、いまは最善の結果を祈ろう」と述べた。