子どもの発育阻害は「静かなる危機」 デービッド・ベッカム氏が特別寄稿
カリフォルニア州ロサンゼルス(CNN) 新聞を開き、健全な発育を遂げるための適切な栄養を摂取しなかったために体や脳に永久に残るダメージを負ってしまった若い子どもの記事を読むことを想像してほしい。
きっと憤慨するだろう。しかし、ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)によれば、これは全世界の約1億7000万人の発育阻害の子どもたちにとっての現実だ。
これは、あまりに長い間、あまりにも注目されずにきた、静かなる危機だ。だからこそ、私は、この問題について、認識を高め、栄養不足と子どもたちの発育阻害という静かなる緊急事態に対処すべく行動をとるよう呼びかけることについて支援を行っている。そして、あなたたちもそうすべきだ。
発育阻害は、生後1000日の間に子どもが適切な栄養を摂取できなかったときに起こる。子どもの脳や体に対するダメージは永続する。そうした子どもたちは、初めから適切な栄養を取っていたら到達したであろう水準まで学習することができなくなる。これは、最長で3年分の学習期間が失われる可能性があることを意味する。
発育阻害に対して行動を起こすことは、正しい行動であるだけでなく、賢い行動だ。一部の国では、子どもの半数以上が発育阻害であり、このことによって後年、彼らの収入は減り、国の経済活動にも大きな影響を及ぼす。
私がアフリカ西部シエラレオネでわかったのは、空腹の子どもの目をのぞき込みながら心動かされずにいるということは不可能だということだ。4人の子どもの父親として、何百万人もの子どもたちが不必要に苦しんでおり、しかも、簡単で安価な解決策で発育阻害を食い止めることができて、子どもたちの命を救い彼らの人生を変えられると分かっているのに、傍観することは私にはできない。