キャサリン妃入院先の看護師の死を受け、問われるメディアの倫理的境界線
この事件では、ハイテクを使えば人のプライバシーをいとも簡単に記録、配布できること、自分の投稿が招きうる重大な結果について、特にソーシャルメディアの若いユーザーたちが十分に理解していないことなど、弱者をさらに危険な状況に追い込むさまざまな要因が結集していたようにみえる。
またこの事件は、米国で10代の若者による自殺が続発している問題を浮き彫りにした。そしてこの問題は、この年代の若者がソーシャルメディアや携帯メールに何時間も没頭するようになったことと無縁ではない。学校でのいじめは休みに入れば収まるが、ネット上のいじめは24時間、どこでも起こりうる。
これらの事件は一見、サルダナさんの事件とは無関係に思えるが、共通点は多い。
21世紀は、ソーシャルメディアや主流メディアの普及と、それらメディアに対する人々の欲求のせいで、個人的屈辱が短時間で世界中に広がる恐れがある。ちょっとした悪ふざけやうっかりミス、私的行動や一般人が抱えるさまざまな懸念が、ものの数時間で世界の隅々にまで広がる、あるいは広がるように見える。そして一部の人にとっては、自分がさらし者になることが、すぐに耐え難い苦しみとなる。