健康への脅威は飢餓よりも肥満 肥満率は過去20年で8割増
世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長によると、非伝染性疾患は世界に蔓延(まんえん)する重大な脅威だ。2011年の国連総会での演説で同氏は、非伝染性疾患を「やがて堤防を決壊させるかもしれないスローモーションの大災害」に例えている。
同じ年には、国連総会でハイレベル会合が開かれ、肥満などの非伝染性疾患の蔓延を防ぐための「政治宣言」が採択された。疾病問題のための特別会合開催は、約10年前のエイズ対策会合の開催に次ぎ2度目のことだった。
非伝染性疾患の治療よりも、その予防に力を入れる方が経済的メリットは大きい可能性がある。
世界経済フォーラムと米ハーバード大学の2011年の共同研究リポートによると、今後20年間で非伝染性疾患により30兆ドル(約2500兆円)の費用負担が生じ、これと精神疾患による負担の16兆ドル(約1300兆円)とが重なって、何百万人もの人を貧困に追いやりかねないことが懸念されている。
政治家らがこれらの数字に注目し、この悪い流れを変えるために取れる対策を見出すことが望まれるとモクダッド教授は指摘した。