再登板の安倍首相、日本と自身の復活に取り組む
東京(CNN) 今月、初の外遊先としてベトナム、タイ、インドネシアを選んだ安倍首相の歴訪は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が日本のアジア外交の基盤であることを強調するものとなった。
首相は歴訪中、公海は公有財産であるとしてASEANと協調して守ることや、国際社会における中国の責任ある行動の必要性などを訴えた。
尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権を巡り中国との緊張が高まる中、今回の歴訪は日本の立場を強化する目論みがあったようにみえる。
2007年に首相として東南アジアを訪問したとき、安倍政権は各国の協力関係強化をうたった「自由と繁栄の弧」構想を掲げていた。中国を抑えようとしたその構想は当時受けが悪かったが、いまや中国の軍事力は同地域の共通の脅威となっている。
中国は、周辺国との領土問題に対する強硬姿勢により、地域の緊張を高め外交的に孤立している。一方、日本は中国とは異なり、地域の安定への脅威とは見なされていない。ASEAN諸国は日本の第2次世界大戦時の歴史問題に関する安倍首相の見直しの姿勢には警戒感を持っているが、平和や経済発展に対する日本の貢献は評価している。
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本記事はテンプル大学のアジア研究学科ディレクター、ジェフリー・キングストン教授によるものです。記事における意見や見解はすべてキングストン氏個人のものです。