新しい最高指導者、習近平氏 待ち受ける難問の数々は
製薬会社の経営にも携わるサイシージー氏は、地方幹部からスタートした習氏について、社会や人々の気持ち、そしてやるべきことをよく理解していると指摘。独占企業でもある国有企業に対して不利な立場にある民間企業への後押しを期待しているという。
国営出版社の編集者フアンヨウイ氏は、教育も受けていながら青年期に長年農村で生活した経験も持つ習氏が率いる新政権について、実務家の集まりだが直面する問題も非常に大きいとの見方を示す。
中国は、経済成長の鈍化をはじめ、失業者の増加や貧富の格差拡大、腐敗の蔓延(まんえん)、環境・公害問題、大衆の不満や社会の不安定化など数々の難問に直面している。
これらに加え、国力伸張とナショナリズムの高揚により、日本など近隣諸国とのあつれきも高まっており、習氏はこれらの問題の解決先送りが許されないと専門家は声をそろえる。
中国問題の専門家であるロバートローレンス・クーン氏によれば、ソーシャルメディアや携帯端末の普及で増幅された大衆の大きな怒りと、2012年に発生した政治スキャンダルが、本人の持つ素質やビジョンと合わさって、習主席の政治力にとって大きな追い風となっている。
中国が抱える根深い問題を解決するためには、信任が厚く、政治資本も豊富な習氏が、その強力な政治基盤や実行力を生かすことが必要だとクーン氏は指摘する。
習主席が、これらの難題をどのように処理するのかが、13億人の中国人、そして、全世界の人々運命をも大きく左右することになりそうだ。