世界で進む農地争奪戦 政権崩壊など社会不安の要因にも
数年前には韓国の大宇がアフリカ南東部のインド洋に浮かぶ島国マダガスカルで耕作可能地の半分に当たる130万ヘクタールの賃借契約を結んだと報じられた。その後破棄されたこの契約は、大規模な抗議行動を呼び起こし、マダガスカル政府崩壊の一因となった。
大半の農地取得は、アジア・アフリカ諸国の、元々紛争が起きやすい地域で行われている。また、大規模な農地取得は、植民地主義や強奪の記憶を呼び覚まし大変危険だ。
外国人の農地取得が招いた衝突などは、これまではほぼ封じ込められている。だが、NPOの国際食料政策研究所(IFPRI)が発表した2012年版世界飢餓指数によれば、指数が最悪の諸国の内7カ国が農地の10%以上を外国人に譲渡している。
これらの国で飢餓が発生した時に、外国人による土地の取得や作物の生産、そして、(おそらくは警備兵に守られながらの)輸出が続けば、内戦を招きかねない。
地元政府は、土地の登記・所有権の確立などのための法律の整備や法律知識の普及を通じ、土地取引にかかわる紛争を防ぐべきだ。