北朝鮮収容所の過酷な実態、「唯一の脱出者」が体験語る
ソウル(CNN) 北朝鮮の強制収容所で生まれ育った脱北者、シン・ドンヒョク(申東赫)氏(30)の体験を通して収容所の過酷な実態を告発したルポ「エスケープ・フロム・キャンプ14」(邦題:北朝鮮14号管理所からの脱出)がこのほど韓国で出版された。
出版を記念してソウルで開かれた講演会には、シン氏と同書の著者のブレイン・ハーデン氏が出席。シン氏は牛糞肥料の中からトウモロコシの芯を拾って食べた経験や、母親や兄弟が処刑される場面に強制的に立ち会わされた経験、看守が絶対的な権限を握って子どもを容赦なく殴り殺す収容所の実態などについて語った。
シン氏は北朝鮮の強制収容所で生まれ、生きて脱出できたことが知られている唯一の人物。ハーデン氏がその証言をもとにまとめた同書は英語版が2012年3月に出版され、これまで24カ国語に翻訳されて、映画化も予定されている。
シン氏は「北朝鮮の強制収容所の存在を世界中の人に知ってもらいたい。北朝鮮には動物のように生まれ、飼育される人たちがいる。そのことを説明しなければならない」と力を込め、ハーデン氏も、北朝鮮の現状を周知させる目的で同書を執筆したと話した。
シン氏の背中には今もやけどの跡が残り、指先は欠損している。