エジプトで衝突拡大、75人死亡 前大統領「拘束」などで
(CNN) 解任されたムルシ前大統領の支持派と反対派の攻防が続くエジプト情勢で、同国の国営メディアは27日、両派が首都カイロ内外で前夜から27日未明にかけ集会を開催、一部で衝突などが起き、計75人が死亡したと報じた。
衝突の激化は、エジプトの裁判所が26日出したムルシ氏の15日間の拘束命令などが背景にある。地元メディアによると、拘束理由はムルシ氏が大統領就任前の2011年、パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム組織「ハマス」と共謀し、自らを含むムスリム同胞団のメンバー11人が脱獄した事件となっている。
中東通信(MENA)によると、カイロ郊外にある大統領派の勢力地区ナスルシティーでは26日から27日にかけ警官隊との衝突が発生し、1000人以上が負傷。同通信は当初、この衝突で10人が死亡したとも報じていた。ムルシ前大統領の権力基盤であるイスラム組織「ムスリム同胞団」は警官隊は実弾を使ってデモ参加者に発砲したと非難した。
一方、2011年2月のムバラク旧政権打倒につながった大規模国民デモの舞台となったタハリール広場には反ムルシ派が結集、上空を飛んでチラシをまき、国旗を落とす軍ヘリコプターに喝采を送った。
同国では今月3日、軍による事実上のクーデターでムルシ政権が崩壊。同日以降、イスラム勢力中心の大統領支持派と、軍や世俗派などが集まる反対派間の反目が激化し、衝突も多数起きている。26日にも全国各地で両派の大規模デモが発生、北部アレクサンドリアでは少なくとも5人が死亡、72人が負傷した。