尖閣諸島巡る日中対立、解決の道遠く
日本の非営利シンクタンク、言論NPOが毎年実施している日中共同世論調査によると、両国の相手国に対する印象は今夏、良くないとの回答が双方とも90%を超え、2005年の調査開始以来最悪を記録した。両国の指導者はこれを警鐘と受け止めて、今こそ真のリーダーシップを示すべきだ。
言論NPOは10月26~27日、北京で日中両国の有識者や当局者、政治家らによるフォーラムを開催した。福田康夫元首相は両国の指導者に対し、独善に陥って先に進めなくなる事態は避けるべきだと説いた。また、日本は「歴史問題」を乗り越えて尊厳を取り戻し、国際社会の期待に応えなければならないと呼び掛けた。
元首相はさらに、日中がいくつもの問題で協調の必要に迫られるなか、両国は今こそ、違いを乗り越えて合意点を見いだすため行動を起こすべきだと訴えた。
賢明な助言だが、果たして指導者らの耳には届いたのだろうか。
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本記事はテンプル大学ジャパンキャンパス・アジア研究学科のジェフリー・キングストン教授によるものです。記事における意見や見解はすべてキングストン氏個人のものです。