フィリピン台風から1週間、被災者が直面する現実
空港には各国からの援助物資が積み上げられているが、道路はがれきでふさがれ、通信は途絶えたまま。フィリピン内務相は、「電力も明かりも水も通信手段も何もない。27万5000人の社会インフラと物理インフラを構築しなければならない」と話す。
タクロバンで母とおば、9人のいとこを失った少年は、頭上を飛ぶ飛行機を見て、自分もこの町から出たいと父親に訴えた。しかし父親は、「お金がない」と首を横に振った。
別の男性は、波にさらわれていった家族の姿が目に焼き付いて離れないと打ち明ける。「最初に末娘が溺れた。それから妻が。助けようとしたが見失った」。この1週間は、自ら命を絶つことも考えたという。しかし、まだ自分を必要とする子どもが1人いるという思いが男性を支えている。