ウクライナ騒乱、大統領選前倒しなど合意 衝突収束は不透明
キエフ(CNN) ヤヌコビッチ大統領率いる政権反対派と治安部隊の衝突が続き死傷者が増えるウクライナ情勢で、政府と野党側は21日、大統領選の前倒し実施などを含む合意文書に署名した。
流血の事態悪化を懸念した欧州連合(EU)がフランス、ドイツやポーランド各外相を派遣、調停交渉を進めた一応の成果ともなっている。
合意文書は、大統領権限の縮小や憲法を2004年時点の内容に回復させることを盛り込んだ。独外務省の公式サイトによると、今年9月までに憲法を改正させることも決めた。大統領選については新憲法が採択後、早急に実施するとしたが、その時期は今年12月以前と定めた。
また、今回の衝突をめぐる捜査を政権、野党や欧州理事会代表者が進めることで合意。治安部隊の実力行使については公共の建物警護に限り許可することになった。反政権デモ隊に対しては48時間内に違法な武器の引き渡しや路上や公共の建物からの撤収を求めた。
ただ、デモ隊の一部はヤヌコビッチ大統領退陣をあくまで求めているため、今回の合意文書成立で騒乱が収束するのかは不透明だ。米国務省当局者は合意文書について非常にもろい内容とし、今後の政情の推移に懸念を示した。
文書調印から数時間後、ウクライナの最高会議(議会)はデモ隊の要求に応じる形で憲法を大統領権限を限定する以前の内容に回復させる法案を可決した。また、別の法案では内相の解任や野党陣営の象徴的人物で収監されているチモシェンコ前首相の釈放も決めた。最終的な釈放には裁判所の指示が必要。