エベレスト雪崩、登山家を救ったシェルパ
しかしライターさんは、ダワさんが氷の壁の陰に押し込んでくれたおかげで雪崩に巻き込まれずに済んだという。
この雪崩で約50人の登山隊のうち、ほぼ3分の1の行方が分からなくなった。ダワさんはまずライターさんの身を気遣い、それから仲間の捜索を開始した。その日1日中、雪に埋まったシェルパたちを掘り起し、ケーブルに乗せてヘリコプターで下山させる作業を続けたという。
長い1日を終えて就寝する前にはライターさんのテントにやって来て、無事を確認して行った。
ベースキャンプに残る登山隊は23日も亡くなったシェルパたちををしのび、「父親が帰ってこない子どもたちのことを思った」とライターさんは話す。
シェルパの多くは仲間の葬儀や埋葬に出席するために下山し、ほとんどは戻って来なかった。しかしダワさんは戻って来て、一緒に登山を続けることができなくなったと告げたという。
シェルパをしているのはヒマラヤの高地に住む先住民で、命を危険にさらしながら一家の生活を支えている。遺体で見つかった1人、26歳のシェルパも、3人の兄弟と母親を養っていた。