南極基地から恐怖の告発 南アの研究チーム隊員が同僚襲撃か
(CNN) 遠く離れた南極の基地で活動する南アフリカの小規模な研究チームのあるメンバーが、同僚に襲われたと訴え、介入を求めていたことが分かった。複数の当局者が明らかにした。
基地を監督する南アの林業・漁業・環境省(DFFE)は声明を出し、「関与した個人に向けた対応計画」を「即座に発動した」と述べた。しかし、チームのどのメンバーも帰国させる予定はないと付け加えた。
告発は研究チームから電子メールで寄せられた。DFFEはCNNに送付した声明で襲撃をしたとされる人物について、詳しい精神鑑定に応じる用意があり、後悔の念を示していると説明。奨励されるあらゆる治療行為も積極的に受ける意向を表明しているとした。
DFFEによれば、襲撃とされる事案の申し立てを受けたのは先月27日。関与したのは9人編成の越冬チームに所属する2人だという。また性的嫌がらせの告発1件についても調査中だとしている。DFFEは関与したとされる人物の氏名に言及しなかった。
これより前には南アの新聞が、チームからの電子メールの詳細を報じていた。それは当該の男性がリーダーを襲ったとして助けを求める内容だった。
電子メールの作成者は、男性の行動が非常な不快感を覚える水準にまでエスカレートしたと強調。「身の安全に大きな不安を感じる状態が続き、自分が次の犠牲者になるのではないかと常に考えている」と訴えた。
新聞報道では誰の氏名も公表されていない。報じられた電子メールの内容について、CNNは独自に確認していない。
南極で研究施設を運営しているアフリカの国は南アのみ。1960年に設置されたこの科学拠点は通常科学者のチームが13カ月滞在する。DFFEが明らかにした。現行のチームは先月1日に送り込まれた。
南極遠征チームを巡って襲撃の事案が起きるのはこれが初めてではない。2017年には南極大陸から遠く離れたマリオン島の研究施設で、研究チームの1人が同僚のラップトップを斧(おの)で破壊したと報じられた。南ア議会の監視団によれば恋愛関係のもつれが原因だったという。
DFFEは研究チームのメンバーについて、遠征前に検査を受けることで「隔絶された環境に耐え、基地という閉鎖空間で他者と共に作業・生活できることを確認している」と説明する。
それでも「極度の僻地(へきち)に拠点がある場合は、到着時に環境への初期適応が必要になる事態も珍しくはない」と付け加えた。