タリバーン系過激派が分裂、内紛で幹部暗殺も パキスタン
(CNN) パキスタンの情報機関筋は8日までに、同国などでテロを繰り返すイスラム武装勢力「パキスタン・タリバーン運動」(TTP)の自爆攻撃を仕切るとみられる幹部が襲われ、射殺されたことを明らかにした。
TTPでは数日前、主要勢力が武装闘争の方針での対立を理由に組織からの離反を宣言しており、今回の幹部暗殺はこの内輪もめが背景にあると見ている。幹部殺害を認める声明などは出ていない。TTPも声明を発表していない。
情報機関筋によると、同国北東部にある部族地域、北ワジリスタン地区のウルムズ村で殺害されたのはアシクラ・メスード幹部。車に乗った襲撃犯が銃撃し、逃げ去ったという。
TTPで主導権を握っていたメスード一族率いる勢力は今月初旬、同組織との決別を表明。公共の場での攻撃、恐喝や誘拐など反イスラム的とする行動の放棄に指導部が応じなかったことを理由にした。同一族勢力の報道担当者は先月、TTP指導部は陰謀にふける者たちの手に陥り、強盗や恐喝などの犯罪行為に関与していると非難する声明を出していた。
武装勢力の連合体であるTTPは2007年、シャリア(イスラム法)統治に基づく国家樹立を目指して創設された。内部分裂は初めてだった。
内紛の発生は昨年11月、ハキムラ・メスード司令官が米国の無人機攻撃で殺害されたのがきっかけだった。これ以降、組織内で主導権争いの武装衝突が続き、数十人が死亡している。
メスード司令官の後任にはファズルラ師が選ばれ、内紛の収拾に当たっていた。同師は、メスード一族出身者でない初のTPP指導者だった。