シリア化学兵器、「全量」の国外搬出が完了 無毒化処理へ
(CNN) 内戦下にあるシリアが保有する化学兵器や原材料物質の回収、廃棄に当たる化学兵器禁止機関(OPCW)などは3日までに、国内に残っていた兵器などの最終分の国外搬出作業を完了したと発表した。
イタリア南部のジョイアタウロ港で、シリアから運んだデンマーク籍の船舶から兵器の解体、原料の処理装置を備える米政府手配の船舶「ケープ・レイ」に積み替えられた。その量は600立方トンとされる。
ケープ・レイは公海に移動し、処理作業を実行する。米国防総省によると、作業の終了までは約60日間が必要。
ただ、マスタードガスやサリンなど猛毒性の原材料物質は米国や欧州の施設に運ばれ、処理作業が実施される。残った毒性物質はさらにドイツやフィンランドの施設に持ち込まれ、最終的な無害処理が施される。
OPCWのウズムジュ事務局長は、内戦に襲われる国が保有する全ての大量破壊兵器を国外へ持ち出したのは前例がない事例と称賛した。しかし、シリア政府は未申告の化学兵器を隠匿している可能性があるとの懸念も消えていない。
OPCWによるシリア保持の化学兵器などの廃棄作業は、国内内戦での同兵器の使用疑惑に伴い、アサド政権が受け入れた国連決議に基づく措置。決議受け入れには、化学兵器使用疑惑を受け、オバマ米大統領が警告した空爆を阻止するための方策との見方もある。