イラク軍とクルド人部隊、モスルのダムを奪還 米軍が援護
(CNN) オバマ米大統領は、イラク軍とクルド人部隊ペシュメルガが18日にイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国(IS)」の支配下にあったモスルダムを奪還し、米軍が空爆で作戦を援護したと発表した。
オバマ大統領は「ダムが破壊されれば、何千人もの住民の命や首都バグダッドの米大使館も危険にさらされるところだった」と強調。「イラク軍とクルド人の部隊は力を合わせてISに立ち向かうことができる。今回の作戦でそれが証明された。今後も協力を続けるなら、米国はこれをしっかりと支援する」と述べた。
モスルダムはチグリス川に建設されたイラク最大規模のダム。今月初めにISに制圧され、洪水を起こす「兵器」として使われる恐れがあると懸念された。軍とペシュメルガが16日から奪還作戦を展開していた。
国防総省のカービー報道官によると、米軍は戦闘機や爆撃機、無人機を使って作戦を援護した。35回にわたる攻撃で、車両や戦闘拠点など90の標的を破壊したという。イラク軍は今後さらに支配地域の奪還を図る構えだ。
モスルダムが破壊された場合は、大量の水が高さ数メートルの壁となってモスルに押し寄せ、さらに下流のバグダッドなどでも洪水が起きることが予想される。
ダム自体の基礎部分の強度にも問題があるとされ、米国が過去に応急的な補強工事を実施している。周囲で激しい戦闘が続くなか、必要な保守作業がいつ再開されるのかは不透明な状況だ。