「何とも愉快」、トランプ氏のVOA解体に中国で歓喜の声

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米首都ワシントンにあるVOAのスタジオ/Jason Andrew/The New York Times/Redux

米首都ワシントンにあるVOAのスタジオ/Jason Andrew/The New York Times/Redux

香港(CNN) ある民族主義者のインフルエンサーは「本当に愉快」と口にし、別の一人は「笑い転げている」と明かす。国営メディアの社説も、「嘘(うそ)の工場」の終焉(しゅうえん)に歓迎の声を上げた。

長年、中国政府と傘下の宣伝工作機関は、米政府系ラジオ局「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」と「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が手掛ける中国向けの放送を容赦なく攻撃してきた。とりわけ人権と宗教の自由に関する放送が標的になった。

中国の民族主義者と国営メディアにとっては笑いが止まらない状況だろう。トランプ大統領が14日、VOA、RFAをはじめとするメディアを解体する大統領令に署名したからだ。これらのメディアは米政府が資金提供し、独裁国家に向けた放送を行っている。

現在トランプ政権が黙らせようとしているのは、中国政府がかねて弱体化を望んできたまさにその機関だ。一方で中国は巨額の資金を投じ、自国の国営メディアによる各国への発信を拡大している。

中国共産党機関紙「環球時報」は17日の社説で、VOAを「嘘の工場」と非難。中国について最悪の報道を続けてきたと糾弾した。

具体的には西部の新疆ウイグル自治区における人権侵害疑惑から南シナ海の領有権問題、台湾、香港、新型コロナ、中国経済に至るまで、中国を巡る悪意に満ちた虚偽報道はほぼ全てVOAが関与していると主張した。

VOAの中国報道には数十年の歴史がある。1989年に北京の天安門広場で民主化を求める抗議運動が起きた際には、VOAの中国語放送が検閲されていない情報を中国国民に届ける上で重要な役割を果たした(VOAの中国語ラジオ放送は2011年に終了したが、局の中国語ウェブサイトは17日時点でまだ継続している)。

RFAは1996年に設立され、中国向けに英語、中国語、ウイグル語、チベット語の放送を行っている。ウイグルやチベットといった少数民族の自由は、長年中国政府により抑圧されているとみられている。

RFAのベイ・ファン最高経営責任者(CEO)は、米政府による補助金の打ち切りについて「独裁者や暴君へのご褒美」と形容。中国共産党をはじめとするこれらの体制は、自分たちの影響力が抑制を受けることなく情報空間へ行き渡るのを何よりも好むと示唆した。

VOAは既に全職員1300人を休職扱いとしている。RFAも、連邦政府からの補助金停止を受けて事業を停止する可能性があると明らかにした。

中国のネットユーザーらは、以前からトランプ氏の孤立主義的な外交政策や分断を招く内政に言及。こうした措置のおかげで、中国は米国との世界的な競争で優位に立てるとの見方を示す。

中国のSNS「微博(ウェイボー)」のあるユーザーは17日、投稿の中でトランプ氏と起業家のイーロン・マスク氏を「同志」と呼び、感謝の言葉を贈った。

マスク氏はトランプ氏の顧問として、米政府の規模縮小の陣頭指揮を執る。自身のプラットフォームX(旧ツイッター)では、VOAの廃止を求めている。

ホワイトハウスは15日の声明で当該の大統領令を擁護。「今後急進的なプロパガンダに税金が使われなくなるのは確実」と述べていた。

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