ISIS、シリア北部の要衝に迫る 米軍は空爆続行
(CNN) シリア北部で侵攻を続けるイスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は29日、トルコ国境に近いクルド人の街、アイン・アルアラブ(クルド名コバニ)まであと数キロの地点に迫った。米軍は27日から28日夜にかけ、シリアでISISに対する空爆をさらに強化した。
アイン・アルアラブの住民が匿名を条件に語ったところによると、ISISは同市の東方約3キロまで接近している。ISISが同市を制圧すれば、ISISは本拠地の北東部ラッカからトルコ国境まで、100キロ以上に及ぶ地域を完全に掌握することになる。
英国に拠点を置く非政府組織(NGO)、シリア人権監視団は29日、シリア各地の活動家、医師、市民らで構成する情報網からの話として、ISISの部隊はアイン・アルアラブの東または南東5キロ前後まで近付いたとの見方を示した。
街の住民たちは、なすすべもなく恐怖におののいている。現地からの報告によれば、米軍主導の空爆は前線まで追いつかず、ISISの勢いを抑えるほどの効果を挙げていない。
市当局者は「われわれは助けを必要としている。武器や、より効果的な空爆が必要だ」「このままの状況が続けば大虐殺が起きるだろう。ISISが入ってきたらどうなるか、想像もできない」と訴えた。
一方、米軍はシリアでの空爆により、ISISの指揮系統に大きなダメージを与えることができたと強調する。米国と同盟諸国がこれまでに実施した空爆はイラクで少なくとも計229回、シリアでは同59回に及んだ。米軍は今回、イラク空爆の約4分の3、シリア空爆の約半分を担っている。