オーストラリア、エボラ熱流行国からの入国を制限
(CNN) オーストラリアのモリソン移民・国境警備相は27日、同国がエボラ出血熱の流行国からの入国を厳しく制限し、査証(ビザ)申請の受け付けを停止したことを明らかにした。
モリソン氏は議会での質疑応答で、政府は人道支援活動も停止していると述べた。オーストラリアの永住権を持つ人が流行国から渡航する場合は出発前に3週間の隔離を義務付け、入国後も検査や経過観察を実施するという。
オーストラリア医師会(AMA)のブライアン・アウラー会長はCNNとのインタビューで、この方針に「驚いた」と語り、AMAには事前の相談がなかったと指摘。「これは的確な判断とはいえない」としたうえで、政府は国内の体制整備や現地への医療チーム派遣などに力を入れるべきだと主張した。
アボット首相はAMAの意見を「深刻に受け止める」との姿勢を示すとともに、西アフリカにはエボラ熱対策費として1800万豪ドル(約17億円)を出資し、さらに追加支援も検討していると強調した。
野党、オーストラリア緑の党のハンソンヤング上院議員は「モリソン氏は西アフリカからの難民への扉を閉ざした」と非難。「政府からの利己的で残酷な発表は、わが国の品性を示すものではない」と語った。
アナン前国連事務総長もCNNに、孤立主義は危機解決への答えにならないと語り、「中長期的な対応はエボラ熱の流行を止める道しかあり得ない」との認識を示した。