香港の屋上スラム 再開発の陰で広がる住宅格差
香港(CNN) 林立する高層ビルがきらめく香港の夜景。だが、華やかな発展の陰には深刻な格差が存在する。問題となっているのは、古いアパートの屋上に違法に増築された掘っ立て小屋だ。住宅価格が高騰している香港では、低所得層の多くがこうした「屋上スラム」で生活している。当局は屋上スラムの住人に立ち退きを迫っているが、大多数は他に行き場がないのが現状だ。
59歳のフォン氏は月1700香港ドル(約2万6000円)の家賃を払い、15階建てのアパートの屋上で暮らしている。ただし家の広さはわずか約7平方メートル。主に建設現場で働いており、月収は8000香港ドル(約12万円)ほど。10歳になる娘を養いつつ家賃を払うにはぎりぎりの額だ。
フォン氏もやはり、当局から退去を求められている。だが、提示されている補償金はわずかな額に過ぎない。よそに移って生活を再建できるような条件ではないとして、フォン氏は立ち退きを拒否している。
屋上スラムの現状は、盛んな不動産開発の陰で住宅格差が拡大する香港社会の縮図だ。豪華な高層ビルが立ち並ぶ足元では、老朽化したアパートに人々が密集して暮らしており、その屋上にはスラムが広がる。