こうした経験にもかかわらず、イーさんは釈放された後もインターネットを通じたビデオ投稿を続けている。これまで通りの歯に衣着せぬ内容で、政治的なテーマにも容赦なく切り込んでいく。
十代の少年が自室にこもり、パソコンのキーボードやカメラを駆使して自らの考えを発信すること自体はもはや珍しい光景ではない。しかしシンガポールでは、そうした行為に対して当局に拘束されるリスクが付きまとうのが実情だ。
ネットでの表現活動の規制に積極的なシンガポールは、国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」で180カ国中153位に沈む。
自由を奪われかねないリスクを背負い続ける理由について、イーさんは、声のトーンを落としながら、周囲を刺激することが好きだからと説明する。
「自分ではただふざけて、人を楽しませているつもり。そこに魅力を感じる。これまでいろいろなことを経験したし、学ぶところも多かった。割とうまくいっていると思う」
CNNはシンガポール政府にこの件についてコンタクトを取ったが返事は得られなかった。