シリア巡る関係国協議、溝埋まらず 2週間後に再協議
米国のケリー国務長官は、協議後の記者会見で、主な合意点として次の6項目を挙げた――▽シリアの国家制度はそのまま残す▽民族や宗派に関係なく、すべてのシリア人の権利を守る▽内戦終結のためすべての外交努力を加速させる▽シリア全土で人道支援にアクセスする手段を確保する▽国内で移住を余儀なくされた人々や難民、受け入れ国への援助を増やす▽過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」)などのテロ集団は国連安全保障理事会から指定を受け、参加国が掃討に向けて合意する。
ケリー長官は29日、シリアの将来をめぐる協議がすぐに政治的な合意に達しなくとも、これが内戦の打開に向けた最良の策だと述べていた。米国務省の高官は「移行政権のあり方、移行政権を構成する顔ぶれ、協議開催の方法や頻度など、すべて未解決だ」と指摘。大まかな枠組みについて合意することがケリー長官の狙いだと述べた。
協議にはロシアや初参加のイランを含めた18カ国のほか、EUが招待された。ただ、各国それぞれの思惑が入り乱れており、米当局者らは、大筋について確固とした合意に至るのも難しいと指摘。アラブ諸国の外交官は「サウジアラビア、トルコ、カタールと、ロシア、イランとが別々の方向に話を進めている。中間路線を取る国もある」「それぞれの要求を折り合わせるのは難しい」などと述べた。
依然として難題となっているのが、アサド大統領の処遇。米国や欧州、アラブの同盟国は早い段階でアサド氏に権力委譲させたい考え。一方、ロシアとしては、まず暫定政権がアサド氏の処遇を決め、その後にシリア国民が同氏の将来を決める方向で政治移行のプロセスを組織したい意向だ。