「一人っ子政策」の時代が残したもの 中国
同氏は2012年、国内31省に書簡を送って社会扶養費の徴収額を問い合わせた。24省から回答があり、徴収額は計200億元(現在のレートで約3600億円)に上っていたことが分かった。
一人っ子政策を施行するために、政府の家族計画部門には約50万人の職員が配置され、そこに築かれた官僚組織も深く根を張っていた。
「新たな政策には期待していない」と、呉氏は話す。今後も3人目以降の子どもができた夫婦は中絶を強制されるだろうし、地方当局は収入を確保するため、厳しく罰金を取り立て続けることが予想される。
しかし合唱団に集まる親たちの心にあるのは、ただ過去の思い出だけだ。息子を失った父親は「とても優しい子だった」と振り返って声を詰まらせ、将来がどう変わろうと自分には何の関係もない、とつぶやいた。