イム牧師は力なく従い、看守らは向きを変えて振り返りもせず退室した。我々のための演技だったのか、単なる通常の手順だったのかは分からない。看守らはインタビューの間、ずっとドアの外で待機していると聞かされた。
囚人服には「36」という番号。服は清潔だったが、靴には毎日の労働でついたとみられる傷や土の跡があった。
イム牧師は昨年12月の裁判以来、この収容所で強制労働を科されている。ほかに収容者はいないとみられ、姿を見かけたことがないという。週に6日、休憩つきで1日8時間、収容所の果樹園にりんごの木を植える穴を掘る。常時2人の看守に監視され、外界との接触はない。
最初は大変な仕事と感じたが次第に慣れ、運動は体に良いと考えるようになった、とイム牧師は話す。健康状態に問題はなさそうだが、緩い服の外からだと体重が減ったかどうかは分からない。
何か欲しいものがあるか、との質問に「あまりない。ただ聖書を希望しているのだが、まだ届かない」と答えた。さらに家族からの手紙を切望していると話す。家族からはこれまでに2回の手紙と、好物のドライフルーツが送られてきた。