韓国、機内の暴言暴行に罰則強化 「ナッツ事件」教訓に
ソウル(CNN) 韓国政府は旅客機内で暴れたり暴言を吐いたりした乗客に対する罰則を強化した。大韓航空の副社長(当時)が機内でのマカデミアナッツの出し方に激怒して搭乗機を引き返させた2014年の「ナッツ事件」を受け、航空法を改正した。
改正法は19日から施行され、搭乗中に乗務員の業務を妨害した者に対する罰則が、禁錮5年以下、または米ドル換算で4万1300ドル(約490万円)以下の罰金に引き上げられた。これまでの罰金は4130ドルだった。
酔って他の乗客などに迷惑をかけたり乱暴したりした場合の罰金は、これまでの2倍の8260ドル(約97万円)になった。
機長や乗員が到着後に違反者を警察に通報しなかった場合も8260ドル以下の罰金が定められた。
韓国国土交通省によると、罰則強化によって乗客の危険行為を阻止し、空の安全性の向上を図る。
2014年に機内で起きたトラブルは354件。15年は10月までに369件が報告されている。
ナッツ事件を引き起こした大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)元副社長は、事件の数日後に副社長を辞任し、公の場で謝罪した。この事件では米ニューヨークのJFK空港でいったんゲートを離れた搭乗機を趙元副社長が引き返させて乗務員を降ろさせたため、到着が11分遅れた。
趙元副社長は2015年2月に一審で禁錮1年を言い渡され、二審でも禁錮10カ月を言い渡されたものの、2年の執行猶予が認められて釈放された。