汚職疑惑のブラジル前大統領、官房長官就任 訴追逃れの非難
リオデジャネイロ(CNN) ブラジルのルセフ大統領は17日までに、ルラ前大統領が官房長官への就任要請を受諾したと発表した。ルセフ氏は記者会見で、国情や政策課題などに通じているルラ氏の官房長官就任は国政運営で大きな推進力になると語った。
ルセフ政権は現在、ルラ氏が絡む国営石油会社ペトロブラスなどを舞台にした汚職疑惑の他、2014年の選挙に関連する政府会計の粉飾疑惑や経済低迷に揺れている。支持率低下に襲われる大統領は会計粉飾疑惑を受け国会での弾劾(だんがい)手続きの対象にもなっている。
この中でのルラ氏の官房長官就任だけに、政権批判派は前大統領の訴追免除を狙う政治的な陰謀と非難。16日夜には首都ブラジリアの大統領府周辺やサンパウロの主要通りで今回の人事に反発するデモが起きた。
ブラジルの法律では、閣僚や連邦議会議員ら政界指導者の裁判は最高裁のみで許される。 ルラ氏の裁判が仮に実現してもその手続きは長引くとの指摘もある。
ルラ氏の汚職疑惑に関しては、連邦警察が約2週間前、同氏の自宅を捜索し、マネーロンダリング(資金洗浄)容疑などで事情聴取していた。これとは別にサンパウロ州の検察当局も同氏を資金洗浄の罪で起訴し、予防措置としての拘束も要請した。
ブラジルでは与党・労働党の政権が2003年から続き、ルラ氏が同年に大統領に就任し、再選も果たしていた。同氏は後継者のルセフ大統領の後ろ盾ともなっている。