取材班はISIS戦闘員の死体が丘の中腹に散乱する光景を目にした。付近では銃声や砲弾の爆発する音がとどろき、ISISが常に相手の弱みを探っていることを何度も意識させられた。
ジョボリ少将は「われわれがいわゆるカリフ制国家の周辺まで来ていることもあり、ISISは戦闘員の援護の下、自爆攻撃を多用してくる」と話す。現在はチグリス川に接近することに集中し、モスルへと向かう他の前線の展開を待っている段階だという。
T大尉は取材班と共にいるとき、家族に電話をかけていた。イラク軍が遠くない時期に助けに行くことを約束し、希望を捨てないよう語りかける。ただ、ISISは2年をかけてモスル内外の防御を固めており、モスル奪還に向けたいかなる動きも阻止する構えだ。
丘の中腹に切り開かれた小さな入り口にも案内された。通路がさまざまな方向に伸びる複雑な地下の迷宮につながっている。案内してくれたイラク軍の兵士は「この地域にこれほどの地下壕があるのであれば、モスルにどんな防御網があるのか想像もつかない」とつぶやいた。