ベルギー刑務所、職員ストで環境悪化 受刑者の釈放も
極度の人手不足に陥った首都圏内の刑務所からは、これまでに少なくとも計10人の受刑者が釈放された。裁判長は「個別の判断に基づく釈放で、受刑者全員に適用されるわけではない」と強調する一方、所内の状況が判断に影響を及ぼしたのは明らかだと語った。
職員らは予算削減や人手不足、硬直化した勤務体制などに抗議してデモを続けている。17日にはブリュッセル市内でデモ隊が暴徒化し、司法省に突入する騒ぎが起きた。
ヒーンス司法相はCNN系列局とのインタビューで「対話を重んじる文化が損なわれた」と嘆いた。ヒーンス氏はこれまでに、同国の刑務所がかねて国内外から批判されてきたことを認め、施設の建て替えや職員増員などの計画を示している。
ベルギーではこれまでも、受刑者が獄中で過激思想に感化される問題が指摘されてきた。パリ同時多発テロの首謀者アブデルアミド・アバウド容疑者も、同国の刑務所内で過激派に加わったとされる。環境の劣悪化に受刑者が緊張をさらに募らせて過激化したり、不満を爆発させたりする事態が懸念されている。