英議会で特別会合、射殺された議員を追悼
ロンドン(CNN) 英国議会は20日、特別会合を開き、今月16日に銃で撃たれるなどして殺害されたジョー・コックス下院議員を追悼した。政治家を標的にした今回の事件は国際社会にも衝撃を与え、23日に予定される欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票への注目が高まっている。
EU残留支持の立場だったコックス議員は、地元のイングランド北部バーストルの路上で男に銃撃された後刃物で刺され死亡した。
キャメロン首相は議会で、犯行への憤りを表明しながらも「何より我々は、愛情にあふれ、断固たる意志を持った情熱的かつ進歩的な1人の政治家に哀悼の意を捧げる。彼女はこれ以上ないほどの素晴らしい人間性を備え、政治の力によって世界はよりよい場所になるのだと、事あるごとに証明してくれた」とコックス議員をたたえた。
その上で議員らに対し、「彼女の命を奪った憎悪の念に、一致団結して立ち向かう」ことを求めた。議場のコックス議員の座席には、その死を悼むバラの花が置かれた。
世論調査によれば、EU離脱の是非に関する議論は賛否が拮抗し、間近に迫った国民投票に向け予断を許さない状況だ。英誌エコノミストのコラムニスト、ジェレミー・クリフ氏は「英国で過去数十年間にみてきた議論の中で、これほど過熱し、意見が分かれているものはない。総選挙をはるかに上回る」と分析。
ただ議員殺害直後の活動自粛をはさんでからは、残留・離脱両派の運動は「ずっと地味で、落ち着いたものになった」と指摘した。