モスク前で車に放火、中傷の落書きも 西オーストラリア
(CNN) 西オーストラリア州パースのモスク(イスラム教礼拝所)前で28日夜、車4台が放火され、塀にイスラム教を中傷する落書きが書き込まれた。
モスクに隣接するイスラムカレッジには子どもたちを含めて地元のイスラム教徒数百人が集まって夕べの祈りをささげていたが、負傷者は出ていない。同モスクの指導者ヤヒヤ・アデル・イブラヒム氏は事件を「憎しみの犯行」と形容した。
西オーストラリア州警察によると、4台の車は反応促進剤を使って放火され、うち1台は全焼した。直後にカレッジ横の路地を走って逃げる3人の姿が目撃されているという。
イブラヒム氏によると、礼拝中だった信者たちは、車の爆発音に驚いて外に飛び出し、「なぜ私たちが? 子どもたちがいることを知らなかったのか」とショックを受けた様子だった。「近隣の住民は恐怖と不安に駆られ、大きな心的外傷を負った」とイブラヒム氏。通りを隔てた向かい側は住宅街だった。
ターンブル首相は29日の記者会見で、「こうした攻撃を強く非難する」と語った。オーストラリアでは7月2日に総選挙が予定されている。
イブラヒム氏によると、パースの住民からは宗教や年齢を問わず、支持表明が相次いでいる。事件後も信者たちはそのまま残って祈りを続けたといい、「今日はモスクに来る人がもっと増えるだろう」と予想する。
ソーシャルメディアでも犯行を非難する声が広がり、キリスト教会の聖職者を務めるジャロド・マッケンナ氏は「礼拝の場は安全な安らぎの場であり、無防備でいられる場、祈りをささげて自分の心にとって何が最も大切かを他者と分かち合う場だ」とフェイスブックに書き込んだ。