米次期国務長官、南シナ海問題で対中批判 強硬姿勢鮮明
香港(CNN) 米国のドナルド・トランプ次期大統領が国務長官に指名したレックス・ティラーソン氏は上院外交委員会の公聴会で、南シナ海に中国が建設した人工島について同国に利用させるべきではないと発言した。
これに対して南シナ海の大部分を自国の領土とみなす中国は12日、米国はこの地域の紛争に介入すべきではないと牽制(けんせい)した。
ティラーソン氏は石油大手エクソンモービルの前最高経営責任者(CEO)。11日に開かれた人事案承認の公聴会で、南シナ海での中国の活動は「極めて憂慮される」と発言。中国の領有権に関する主張を、クリミア半島を2014年に併合したロシアの軍事介入になぞらえて、「島を建設してその島に軍事資産を置くのは、ロシアによるクリミア半島の接収に等しい。他者が権利を主張している領土を取り上げる行為だ」と批判した。
ティラーソン氏はさらに、「我々は中国に対し、まずそうした島の建設中止を要求し、第2にそうした島々へのアクセスを許さない姿勢を明確にしなければならない」と強調し、オバマ政権がこの問題への対応を怠ってきたために、中国による進出拡大を許したとの見方を示した。
この発言についてシドニー大学のアシュリー・タウンゼンド氏は、これまでのトランプ氏の発言と併せると、南シナ海などの問題を巡ってトランプ政権が中国に対して強硬姿勢で臨むことを示唆するものだと解説する。
ただしタウンゼンド氏は、「米国が衝突を起こすことなく中国による島へのアクセスを阻むことはできない。そうなれば軍事衝突も予想される。そうした島や環礁の大半について、米国がアクセスを阻むことは法に触れる」とも指摘した。