シリア問題「政権交代起こる」、米国連大使が明言
(CNN) 米国のヘイリー国連大使は9日、CNNのテレビ番組に出演し、シリア情勢を安定させる上で同国のアサド大統領の退陣は避けられないとの考えを示唆した。トランプ米政権はこれまでシリアの政権交代に否定的だったが、大使の番組での発言は、ここへきてその政策方針を大きく転換したとも取れる内容だった。
米軍は7日未明、シリア政権軍が化学兵器攻撃に使用したとされる同国中部のシュアイラート空軍基地へのミサイル攻撃を実施。アサド政権に対する初めての直接的な軍事行動に踏み切った。
この攻撃より以前、ヘイリー国連大使はアサド政権の打倒について優先事項ではないと公言しており、トランプ大統領も選挙前の発言で、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討とアサド大統領の退陣を当時に求めるのは「ばかげている」と語っていた。
しかしヘイリー氏は上記の番組の中で、アサド大統領が権力の座にある限りはシリア問題の政治的な解決は見込めないと指摘。同大統領の退陣を米政府の公式な方針とは明言しなかったものの、現状を鑑みれば「アサド氏のもとで平和的かつ安定した政権が運営されるとは考えにくい」と述べた。
その上で「我々は政権交代が起こるだろうとみている。すべての関係者がアサド氏について、シリアのために必要な指導者ではないと考えているからだ」と語った。
一方ティラーソン米国務長官は9日、シリア問題についてCBSの取材に対し、まずISISの脅威を縮小させるのが先決だと強調。それが実現すれば「シリアの状況の安定にも直接向き合えるようになると思う」との見解を表明したが、退陣が不可避とまでは言及しなかった。