イラク北部モスル近郊(CNN) 有志連合による過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」掃討作戦を率いる米軍のスティーブン・タウンゼンド司令官は13日までにCNNの単独インタビューに応じ、この夏までにはISISが首都と称するシリアの都市ラッカに進攻できるとの見通しを示した。戦闘が激化すれば米軍の増派が必要になる可能性にも言及した。
タウンゼンド司令官は、米軍がイラク北部モスルの戦闘支援の拠点としている基地訪問の際にインタビューに応じ、「この夏までにはラッカに対する攻撃が進行していることを望む」と語った。
ISISがイラクでの重要拠点としていたモスルの激戦を経て、有志連合とトランプ米政権の焦点はラッカへと移っている。ラッカは都市としての規模はモスルよりずっと小さい。しかしISISが展開する戦力を考えると、長く困難な戦闘が予想される。
ラッカは現在、有志連合が支援する反体制派の「シリア民主軍」(SDF)が北部と東部、西部を包囲している。しかしラッカ攻撃のためには米軍の増派が必要になるかもしれないとタウンゼンド司令官は予想し、「今現在、ラッカを完全に孤立させるために必要なリソースはある」と指摘。「孤立させたら次は攻撃だ。そのために必要なリソースについてはまだ評価段階にある。もしリソースを増やす必要があれば、指揮系統を通じてそれを伝える」とした。
トランプ政権がシリア政府軍の基地を巡航ミサイルで攻撃したことについては、これで有志連合の考え方は多少変わったが、「具体的にどう変わったとは言えない」とした。米軍に対してシリア軍がサリンを使う可能性については「極めて小さい」としながらも、あらゆる敵対行為が予想されると警告。「シリア政権が米国や世界の対ISIS有志連合との戦闘を望むとは思わない」とも言い添えた。
ラッカ南部と西部には、ある程度の距離を置いてロシア軍とシリア軍が展開しており、米ロの対立がラッカ進攻に向けた障壁になる可能性もある。
タウンゼンド司令官はロシアとの連携について、「現時点では計画も調整もしていない。彼らはラッカ近郊にさえいない。彼らは自分たちのいる地域で手一杯で、恐らく喜んでSDFと有志連合にラッカを攻撃させるだろう」と予想する。