革命から百年、復活のロシア正教会<1> 教会か反宗教博物館か
ロシア・サンクトペテルブルク(CNN) ある寒い日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクでは珍しい出来事が起こっていた。
青いリボンを身に着けたデモ隊1000人以上が、同市を象徴する建物のひとつ聖イサアク大聖堂を取り囲むようにして「人間の鎖」を形成。警官数十人が監視の目を光らせる中、平和的な形で異例の抗議を行ったのである。
デモ隊の要求はひとつ。聖イサアク大聖堂が正式に教会となるのを阻止することだった。抗議に参加した人々は約20分間にわたり「博物館、博物館」と連呼した末、同市全域に静かに散っていった。
サンクトペテルブルクではこの数カ月、世俗派のデモ隊が何度か大規模な抗議活動を展開している。数十年にわたり歴史的なモニュメントとして聖イアサク大聖堂を運営してきた国立博物館から同聖堂を接収するとの政府の計画を受けたものだ。この計画では、ロシア正教会が同聖堂を直接管理することになる見通し。
ただ、ロシアで往々にしてそうであるように、この地域問題は国家規模の議論を象徴している。
デモに夫婦で参加していた研究者の男性は「教会が自分たちの仕事に専念している限りは構わない」「だが、教会が中絶や中等教育の問題にまで口を出したり、こうした建物を接収したりするなら、私は賛成できない」と述べた。
デモの数時間前には、ロシア正教会の支持者の側でも平和的な示威行為を展開。長い金色のローブに身を包みひげを生やした聖職者らが、イコンや正教会の旗、金色の十字架を掲げて大聖堂の周りを厳かに行進した。
行進の先頭に立ったのはロシア連邦議会のビタリー・ミロノフ氏。過激な言動の超保守派議員だ。