米国への亡命申請、ベネズエラが最多に 昨年度は1.4万人
ニューヨーク(CNNMoney) 政情不安や食糧危機が深刻化する南米ベネズエラを離れ、米国に亡命や難民認定を申請する人が激増している。ベネズエラ人の申請者数は中国、メキシコ、グアテマラ、エルサルバドルを抜き、初めてトップになった。
米フロリダ州マイアミのスーパーマーケットに足を踏み入れたエメリナ・ゲラさん(32)は、うれしさと悲しさで胸がいっぱいになったと語る。食品であふれる店内の光景は、故国ベネズエラでは5年以上前から見られなくなっていた。
この光景を見て、ようやく米国に来られたことを喜ぶ気持ちがこみ上げてきたというゲラさん。同時に、故国に残してきた両親のことを思って悲しくなった。
ゲラさんは2カ月前、2歳の息子と夫とともに、暴動が激化するベネズエラの首都カラカスを離れた。同国は政情不安に陥り、食糧は不足して、政治的迫害の恐れもあった。ゲラさん一家は米国にとどまるために、亡命申請を検討している。
ベネズエラでは政府機関の職員としてそれなりの収入を得ていたゲラさんだったが、その職を捨て、数個の手荷物と息子のための玩具のみを持って渡米した。マイアミまでの航空券は、自家用車を売ったお金を充てた。
ゲラさんも夫も現在は無職。観光ビザで滞在していることから、長期滞在ビザが下りるまで就労はできない。
米市民権移民局の統計によると、2016年度に米国に亡命を申請したベネズエラ人は1万4700人を超え、前年度の5605人に比べて160%増えた。今年度はまだ半ばだが、申請者はさらに倍増する勢いで、2番目の中国を大幅に上回る。ベネズエラ人の亡命申請者は今年度の申請者の5人中1人を占めている。