デモの争乱に響くバイオリン、警備兵に壊される ベネズエラ
(CNN) 南米ベネズエラの政情不安が深まる中、デモ隊と警官隊の衝突が続く路上で1人の男性が弾き続けていたバイオリンの音がやんだ。
この男性、ウイリー・アルテアーガさん(23)が手にしていたバイオリンは、24日に州兵に取り上げられた。取り戻した時には弦が切れ、演奏できなくなっていた。
アルテアーガさんはコロンビアの放送局NTN24の取材に対し、「抗議デモのさなかで演奏していると、警備隊の車両が近寄ってきて、兵士の1人が私のバイオリンの弦をつかんだ」「私はバイオリンを離さなかったので、そのまま路上を引きずられた」と語っている。
やがて耐えられなくなったアルテアーガさんは、バイオリンから手を離した。
壊れたバイオリンを返してほしいと兵士に懇願すると、別の兵士が返してくれたという。「私は彼を抱き締めると、バイオリンを持って走り去った」
ベネズエラでは3月下旬以来、政情不安が一層深まり、抗議デモが激化して死傷者も続出している。しかしアルテアーガさんは、煙が立ち込め、催涙弾の容器が散乱する中で、ベネズエラ国旗をあしらったヘルメットをかぶって国歌を演奏し続けた。
その様子を独立系メディアの記者が撮影してツイッターに投稿し、世界中に広めていた。