トランプ氏、対キューバ政策の見直し発表 渡航や通商規制を強化
米マイアミ(CNN) トランプ米大統領は16日、フロリダ州マイアミで演説し、オバマ前大統領がキューバの共産党政権との間で進めた施策を強く批判、キューバ政府との対決姿勢を強化する自身の路線を打ち出した。
トランプ氏による今回の演説はオバマ氏のレガシー(政治的遺産)を縮小させる取り組みの一環。オバマ氏は2016年にキューバを訪問するなど、在任中最後の2年間を対キューバ関係改善の模索に充てていた。
トランプ氏は演説の中で、「前政権によるキューバとの不均衡な取引を解消する」と言明。「カストロ政権の犯罪を明るみに出す」とも述べ、同政権の人権侵害をめぐるオバマ政権との姿勢の違いを強調した。
そのうえで「我々にはカードがある。前政権による渡航と通商の制限緩和はキューバ国民の助けになっていない。単に政権を富ませただけだ」などと述べた。
トランプ氏はオバマ氏の対キューバ政策を「完全に」解消するとしたものの、今回の姿勢転換は同氏の政策からの部分的な変更にとどまっている。
米キューバ間の外交関係は維持するほか、両国の首都で再開された大使館も活動を続ける見込みだ。キューバ名産のラム酒や葉巻など、米国人がキューバ国外に持ち出せる商品の種類についてもさらなる制限は設けない見通し。
一方でトランプ政権は、両国間の渡航を認める例外規定の厳格な運用を始めるほか、軍や情報機関が保有するキューバ企業との取引も禁止する方針。また、キューバでのインターネットアクセス拡大に関する特別チームを招集するようティラーソン国務長官に指示したほか、人権保護の面で改善がない限り国連における対キューバ禁輸解除の取り組みに反対する米国の立場を改めて表明した。
ホワイトハウス関係者は新たな規制について、即時に実施されるものではなく、今後数カ月かけて関係当局が規制内容を修正して対応する見込みだと語った。
キューバ政府はトランプ大統領の方針発表の前に、同氏との交渉に意欲を示していた。
トランプ氏の発表は共和・民主両党から反発を受けた。共和党員は変化が小さすぎると批判する一方、民主党のマーク・ウォーナー上院議員は後戻りする反動的なものと形容し、「米キューバ関係を逆行させる決定は米国のリーダーシップに関する誤ったメッセージを世界に発信する」と述べた。