モスル奪還、首相が正式宣言 復興に課題も
モスルでこうした事態が起きないよう、イラク軍や有志連合は強力で永続的な治安態勢を確立する必要がある。また、住民の中からISISに同調して協力する者が出ないよう、イラク当局が信頼を勝ち取ることも重要だ。
米国も、イラク戦争後に生じた空白がISISの台頭を許したとの反省に基づき、地元部族指導者らとの対話に力を入れている。
すでにISISから奪還されていたモスル東部では、今もテロ攻撃が続く。中部の都市ファルージャは奪還後9カ月が過ぎても治安が安定せず、市長は市外へ逃れたままだ。
そして何より、モスル奪還後の最大の課題のひとつは、今後の統治体制だ。同市にはイスラム教スンニ派とシーア派、キリスト教徒、クルド人、クルド系少数宗派ヤジディ教徒など多様な宗教や民族の住民が共存している。アバディ首相はISIS掃討という目的の下、一致団結を呼び掛けてきたが、この先どの勢力にどのような権限を分配するのか、具体的な話し合いは始まっていない。