「孤独」担当大臣を任命、900万人の社会的孤立に対応 英
ロンドン(CNN) 英国のメイ首相が「孤独担当相」のポストを新設し、トレイシー・クラウチ氏を大臣に任命した。英国で900万人が直面する社会的孤立の問題に対応する。
クラウチ大臣は超党派のグループを率い、2016年に極右によって殺害されたジョー・コックス議員を追悼してまとめられた提言をもとに、孤独問題への対応を主導する。
コックス議員は生前、自らの経験をもとに、孤独の問題に熱心に取り組んでいたといい、その活動に敬意を表して「ジョー・コックス孤独対策委員会」が創設された。
メイ首相は17日、首相官邸でコックス議員の追悼集会を開き、「孤独は現代の生活の悲しい現実」だと指摘。「高齢者や介護者、愛する人をなくした人、話し相手がいない人、あるいは考えや経験を分かち合う相手がいない人の孤独に対応するために行動を起こす」と語った。
孤独は生活の質を低下させるだけでなく、寿命が縮まる可能性が高まるという調査結果もある。
心疾患および予備軍と診断された45歳以上の4万5000人を対象に実施された調査では、1人暮らしの人の方が、誰かと同居している人よりも死亡する確率が高いことが分かった。若者の場合も、ソーシャルメディアのヘビーユーザーほど、社会的孤立度が高い傾向があった。
孤独は別の面でも健康に悪影響を及ぼしかねず、例えば運動不足になったり食事がおろそかになったり、医者へ行こうという気が起きにくいこともある。それがストレス増大や血圧上昇を引き起こし、心疾患につながることがある。