イランへの懸念示す安保理決議、ロシア拒否権 イエメン内戦
(CNN) 国連安全保障理事会は26日、イエメンの反政府武装勢力「フーシ派」にイランが武器を供与したとの懸念を表明する決議案を採決にかけたが、ロシアの拒否権行使によりこれを否決した。
決議案は英国が提案し、安保理メンバー15カ国のうち米国など11カ国が強く支持していた。中国とカザフスタンは採決を棄権し、ロシアとともにボリビアが反対した。
安保理ではこの後、イランには言及せずにイエメンへの武器禁輸措置を延長するロシア提案の決議が全会一致で採択された。
イエメンでは約3年前から続く内戦と宗派対立で数万人が死亡し、何百万人もの住民が深刻な食料、医薬品不足に直面している。国連は同国への武器禁輸措置を発動し、「世界最悪の人為的な人道危機」と呼んで懸念を示してきた。
内戦は有志連合を率いるサウジアラビアと、フーシ派を支援するイランによる代理戦争の様相を呈している。
サウジ軍は昨年11月、イエメンから発射された弾道ミサイルを首都リヤドの空港上空で迎撃し、イランがフーシ派にミサイルを提供したと非難した。
イランはフーシ派へのミサイル提供を否定したが、国連の専門家チームは今年1月、サウジ側の主張を事実上認める報告書を発表。ロシアのネベンジャ国連大使は26日の採決に先立ち、「裏付けのない結論には同意できない」との立場を示していた。
米国のヘイリー国連大使は26日夜の声明で、ロシアがイランの「テロ支援政権」に加担していると非難。イランが武器禁輸措置に違反した証拠は十分にそろっていると主張した。