インドで過去最悪の水資源危機、6億人が「水不足」に
(CNN) インドのシンクタンクは17日までに、国内の水資源問題に関する報告書をまとめ、国民約6億人が深刻もしくは極端な水準での水不足への対処を迫られる同国史上最悪の事態に直面していると警告した。同国の総人口は約13億人。
政府に政策提言などしている同シンクタンク「インド科学環境センター」は、不十分な水供給や汚染水が原因で平均で住民20万人が毎年命を落としていると指摘。総人口の4分の3が汚染水の影響を受け、国内の疾病のうち2割の起因になっているとした。
国内の主要21都市が2020年までに地下水枯渇の事態に直面すると予想。ニューデリー、バンガロールやハイデラバードなどの大都市は地下水の払底に襲われ、約1億人の日常生活に悪影響を及ぼすとした。インドは経済成長を続けて国力が伸張しているが、回避出来ない危機に遭遇していると警告した。
インドの持続的な水資源開発計画は近年足踏みしている。州の8割は水資源保存に関連した法的対策を講じているが、貧弱な管理データ保存や有料の水供給制度が存在しないのに等しい現状が大きな改革を妨げる要因になっている。粗悪な灌漑(かんがい)技術や深刻な地下水汚染の問題が水資源危機をさらにこじらせている。
適切な下水道施設も十分にないため、処理されていない都市部の排水が地方に流れ、飲料水と化している現実もある。
インドの産業構造は農業に大きく依存している。水資源の8割は灌漑(かんがい)用とされる。水の価値はインド内で尊重されずに極めて安く、住民は無料と思い込んでいるとの指摘もある。同センターの幹部は、一部の州は農家に無料で電気を供給し地下水取水で資金援助する政策も打ち出し、資源浪費の結果につながっていると説明した。