中国で見えてきた不妊問題<2> 声に出せない苦悩
北京(CNN) 中国の大手ソーシャルメディア「微信(ウィーチャット)」上で、不妊に悩む女性を支援するグループを運営するフィービー・パン氏は、自分が多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群による不妊で苦しんだ経験をブログにつづっている。
パン氏は、女性の不妊問題は年齢が主な原因と考えている。
また中国社会では不妊は恥とされていることも問題だ。パン氏がこれまで話してきた女性の多くは、家族や友人に不妊の悩みを打ち明けるのは恥だと感じており、それが中国の若い女性の間で不妊に対する認識が欠如している原因にもなっている。
シー・シャオシンさんは3年前からさまざまな不妊治療を受けてきたが、今年、国営の不妊症クリニックで体外受精を試すことにした。費用は4700ドル(約50万円)で、北京、上海、広州といった裕福な都市の約4カ月分の給料に相当する。さらに体外受精の費用は中国の公的医療保険ではカバーされないという。
シーさんと夫は毎週、朝早起きして診療所に通っている。診療所で4時間過ごすが、大半は待ち時間だという。
「実際の診察時間はわずか5分間」とシーさんは憤る。
リアリティー番組
中国で今年、不妊をテーマとした新たなリアリティー番組のオンラインストリーミングが開始された。配信会社によると、初回と2回目の放送は累計4600万ビューを記録したという。
今日の体外受精に対する需要の高まりが浮き彫りにするのは、かつて多くの親たちが抱いていたものの30年以上もかなえることを禁じられていた「夢」だ。
ある研究所の報告書によると、中国で体外受精が受けられる国の認可を受けた診療所の数は、2016年現在451カ所で、人口1000万人当たりわずか3.3カ所しかない。同報告書によると、中国で質の高い不妊治療が受けられない人は男女合わせて推計80万人に上るという。